子宮頸がんの原因ってなに?
子宮頸がんは、ヒトパピローマウィルス(HPV)の感染を原因とするがんです。
200種類以上あるHPVのうち、子宮頸がんなどのがんの原因となるものをハイリスクHPVと呼んでいます。ハイリスクHPVには、HPV16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,66,68型が含まれます。
一方、尖圭コンジローマなどの良性のイボから検出されるHPVをローリスクHPVと呼び、HPV6,11,42,43,44 型が含まれます。
ハイリスクHPV、ローリスクHPVは、感染ルートはいずれも性的接触ですが発生する病気は全く異なります。HPVは性交経験のある人の8割が一生に一度は感染します。
ただし、感染してもほとんどの場合、ウイルスは2年ほどで自然排出されます。
ところがウイルスが排出されずハイリスクHPVが数年から十数年にわたって持続的に感染した場合、一部が前がん病変となりさらにその一部が子宮頸がんに進行します。
またウィルスがいったん自然排出されてもチャンスがあれば再感染します。
HPV感染予防の重要性
前がん病変や初期の子宮頸がんの主な治療法は子宮の大部分を残す子宮頸部円錐切除術です。
この手術法は将来妊娠出産が可能というメリットはあるものの子宮頸部円錐切除術後の妊娠では早産(妊娠36週以前の出産)のリスクが高くなります(日本での調査では約25%)。
前がん病変や初期よりさらに進展した浸潤がんでの治療方法は、外科的切除(子宮や卵巣の摘出)や放射線治療、抗がん剤治療などですが進行するほど妊孕性(妊娠する力)を保つのが難しくなるためワクチン接種による予防がたいせつです。
子宮頸がんワクチンの種類
今まで主として4価ワクチン「ガーダシル」(MSD社)が使われてきました。
4価とはHPV16、18型(子宮頸がんの原因の65%)に加えてHPV6、11型(尖圭コンジローマの原因)の4種類のウィルス型に対応するという意味です。2021年2月に9価HPVワクチン「シルガード9」が使えるようになりました。ガーダシルが対応している4つの型に加え、5つの型(HPV31,33,45,52,58型)に対応することで子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。
子宮頸がん
HPVワクチンまとめ
ガーダシル (4価) |
シルガード (9価) |
|
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HPV型 | 6,11,16,18 | 6,11,16,18,31, 33,45,52,58 |
予防できる 疾患 |
〇子宮頸がんと前駆病変 〇外陰部腫瘍、膣腫瘍 〇肛門がんと前駆病変 〇尖圭コンジローマ |
〇子宮頸がんと前駆病変 〇外陰部腫瘍、膣腫瘍 〇尖圭コンジローマ |
注射方法と 時期 |
筋肉注射 (0/2/6か月目) 詳しくはこちら |
筋肉注射 (0/2/6か月目) |
接種対象年齢 | 9歳以上 | 9歳以上 |
性別 | 男・女 | 女 |
公費負担 | 小学6年生~ 高校1年生女子 キャッチアップ接種対象者 詳しくはこちら |
小学6年生~ 高校1年生女子 キャッチアップ接種対象者 詳しくはこちら |
薬剤の種類 | 接種回数 | 費用(税込) |
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ガーダシルHPV4価 ワクチン(注1) |
1回 | 15,300円 |
シルガードHPV9価 ワクチン(注1) |
1回 | 30,000円 |
(注1):料金前払い、電話予約のみ