ニキビ(尋常性ざ瘡)
原因
ニキビは「思春期以降に発症する顔面、胸背部の毛包脂腺系を場とする脂質代謝異常(内分泌的因子)、角化異常、細菌の増殖が複雑に関与する慢性炎症性疾患」と定義されています。わかりやすくいうと、ホルモンの影響で毛穴に油分(皮脂)がたまり、毛穴がつまって外に出にくくなったところへばい菌が繁殖して炎症を起こす、ということになります。とはいってもまだ原因のすべてがわかっているわけではありません。
症状と段階
微小面皰(めんぽう)、面皰、紅色丘疹(きゅうしん)、膿疱(のうほう)、囊腫(のうしゅ)、硬結(こうけつ)とだんだん進んでいきます。
微小面皰
ニキビの前段階であり皮脂が毛穴につまった状態です。肉眼では見えません。
面皰
皮脂が増えて角化もすすみ毛穴に皮脂がたまっている状態で肉眼的に見えます。毛孔がつまった白ニキビと毛孔が開いた黒ニキビがあります。面皰に細菌感染して炎症が起きると紅色丘疹(赤ニキビ)、さらに膿疱(黄ニキビ)になります。さらに炎症が強くなると皮下に袋状に膿がたまったり(囊腫)、炎症が慢性化して皮下にしこり(硬結)となります。ここまでくると重症です。重症化すると炎症がおさまったあとも萎縮性瘢痕、または陥凹性瘢痕と呼ばれる皮膚の陥凹(かんおう)や、隆起、色素沈着といった症状は、いわゆるニキビ痕(瘢痕はんこん)として残ることもあります。残念ながら瘢痕に対して有効な治療法はまだありません。ニキビが瘢痕化して容貌を気にするようになると対人関係や社会生活上に影響をあたえかねませんので、思春期での適切な治療がたいせつになってきます。
洗顔
1日2回石けんによる洗顔で皮脂を除去します。メイク落としはクリームタイプのものをおすすめしています。オイルクレンジングも安全に使用できるというデータがありますが、クレンジング後に石けんでクレンジング成分を洗い流すようにします。
治療
まずは尋常性痤瘡治療ガイドライン(日本皮膚科学会)に沿った治療を行います。
ニキビの炎症
急性炎症期(3ヶ月まで)
軽症の炎症+面皰
ベピオ®、デュアック配合ゲル®、エピデュオゲル®、ディフェリンゲル®、抗菌薬塗り薬(ダラシン®Tゲル・Tローション、アクアチム®クリーム・ローション、ゼビアック®スローションなど)を処方します。
中等症・重症・最重症の炎症+面皰
上記の治療に加えて抗菌薬飲み薬(ビブラマイシン、ミノマイシンなど)を処方します。
維持期
ディフェリンゲル、ベピオ、エピデュオゲルを処方します。
抗菌薬は耐性菌が出現することから使用は3ヶ月以内をめどとします。
ニキビとピル
ガイドラインによる治療でもなかなか改善がむずかしい女性には低用量ピル(自費)を処方することもあります。
こんなお悩みがある方には
服用してもいいかもしれません
- ホルモンが関与すると考えられるニキビ
- 思春期で身長の伸びが止まっていると考えられる(骨端線が閉じている)人
- 低用量ピル服用のリスクがない人
- 生理痛のつよい人(健康保険のピルも処方可能)
ニキビと
レーザーフェイシャル
どのようなニキビにレーザー治療が有効でしょうか。
当院ではガイドラインの原則にしたがって治療しても効果が見えにくい場合にレーザーフェイシャルを行って良い結果を得ています。
ニキビにレーザーフェイシャルが有用な理由はまだ解明されていませんが、顔の脱毛をすることで毛孔角化が減少したり皮脂をつくる皮脂腺が減少したり熱作用で殺菌効果が出ることなどが推測されています。
私たちは治りにくいニキビに対してレーザーフェイシャル単独あるいはピルと併用したりしてひとりでも多くの患者さんに笑顔をとりもどしていただきたいと考えています。