ピルってどのような時に
処方されるものなの?
ピル(OC/LEP)は用途別に分類するとが以下の内容があります。
- 生理痛(月経痛)
- 子宮内膜症などの治療
- 避妊
- 月経移動
わが国では、避妊薬として使われるピルはOC(自費)や治療用ピルはLEP(健康保険適用) とわけていますが、諸外国では区別はありません。
以下は当院で処方しているピル(OC/LEP)についてご説明します。
生理痛(月経痛)・
月経困難症の場合
血栓症リスクのない人
下記の超低用量ピル、低用量ピルの中から選択します。
- ルナベル
- フリウェル(ルナベルのジェネリック)
- ヤーズ
- ヤーズフレックス
- ジェミーナ(以上LEP:健康保険適用)
選び方のポイント
1.月経前症候群(PMS)の人、にきびの人にはヤーズが有効です。
2.偽薬服用中に片頭痛の来る人ではジェミーナで改善することがあります。
服用方法
(偽薬あり:ヤーズ、ヤーズフレックス)
月経1日目からスタートします。シートの順番に1日1錠毎日決まった時間に服用します。
28錠で1周期(1ヶ月分)として、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から新しいシートの最初から服用します。
服用方法
(偽薬なし:ルナベル、フリウェル、ジェミーナ)
1日1錠を毎日一定の時刻に計21日間連続経口投与し、その後7日間休薬します。
血栓症リスクのある人
ディナゲスト(成分名ジエノゲスト)など。但しうつ病傾向のある人は注意を要します。
服用方法
初回は月経2~5日目に開始して1日2回服用します。
血栓症リスク
40歳以上、喫煙者、高血圧、肥満、前兆のある片頭痛、血栓症の家族歴など。
偽薬
ホルモン成分の入っていない錠剤で1日1錠のむ習慣づけのためにあります。
製品によっては偽薬が設定されておらず自分でカレンダーをつけて「休薬」するタイプのもの(偽薬なし)もあります。
ピルの飲み方について
ピル(LEP)の周期投与と連続投与
ピルの飲み方(投与法)には周期投与と連続投与(正確にはフレキシブル投与)があります。
周期投与
休薬期間を設けたり偽薬を用いることで毎月生理(消退出血)を来させる方法です。
連続投与
120日間(ヤーズフレックスの場合)、あるいは77日間(ジェミーナの場合)休薬なしで飲み続けます。
できるだけ生理のくる回数を減らすことで生理痛などに悩まされる回数を減らして女性のQOL向上をめざす方法で欧米では主流になりつつあります。
子宮内膜症・子宮腺筋症
子宮内膜症、子宮腺筋症などによる生理痛対して処方されるピルは、生理痛、月経困難症によるものとおおむね同じです。
避妊
毎日の避妊用と緊急避妊用があります。
毎日の避妊
低用量ピル
- ファボワール
- ラベルフィーユ
ミニピル(セラゼッタ)
45歳以上で高血圧やその他、血栓症ハイリスクの方向け
緊急避妊(アフターピル)
黄体ホルモン
- ノルレボ
- レボノルゲストレル
中用量ピル
- プラノバール
月経移動
月経移動は、入学試験や結婚式などのイベントと生理が重なってしまいそうなときに、中用量ピルを飲むことで生理をずらす方法です。生理を早める方法と遅らせる方法があります。
※普段から低用量ピルを飲んでいる人は実薬を使って生理をずらすこともできます。
※月経移動のできない方
- 肥満の方(BMIが30以上の方)
- 高血圧の方(血圧が160/100mmHgを超える方)
- 35歳以上で1日に15本以上の喫煙者
- 前兆のある片頭痛のある方
- 乳がんの方(乳がん手術から5年以内の方も含みま す)
- 妊娠中や妊娠の可能性のある方
- 授乳中の方
月経を早める方法
- ずらしたい生理予定のひとつ前の生理3~5日目から内服を始めます。
- 1日1回1錠のホルモン剤を10~14日間内服をします。
- 内服終了後、2~3日で生理が起こります。
※イベント中に服薬せずにすみます。
月経を遅らせる方法
- 予定生理開始日の3~5日前から内服を始めます。
- 内服は生理を起こしたくない日まで続けます。
- 内服終了後、2~3日で生理が起こります。
※イベント中もホルモン剤の服用が必要になります。